2006年10月

2006年10月29日

食義50 神無月編 「比之保の心」                                       2006年10月29日、奈良新聞掲載記事

 私は最近、「日本人は取り入れて発展させる力がすごいなぁ」と切に思った事柄がある。
 それは私たちが毎日使うであろう「醤油」からであった。
 去る、二〇〇六年十月十九日の秋晴れの下、私が所属する『なら食』研究会主催で、奈良の『食』発見ツアーを行った。これは奈良県内にある様々な食に触れてもらおうというもので、今回は奈良醤油、大和伝統野菜、大和茶といった奈良に密着した食を味わい、体験した。その中で、『なら食』研究会は、古代「比之保(ひしお)」を来ていただいた方々に振舞った。この古代「比之保」とは、『なら食』研究会が再現し作った醤油の原型といわれるものである。
 
 周知の通り、醤油といえば和歌山県の湯浅が発祥地として有名であるが、その始原をたどると奈良の桜井に行き着き、奈良と醤油との関係が深いことを知りえることができる。
 醤油の作り方を簡単に説明すると、蒸した大豆と炒った小麦を種麹(しょうゆの中の旨み成分や香り成分をつくるための様々な酵素の供給源)と混ぜ、そうして出来上がった「しょうゆ麹」と呼ばれるものを、食塩水に漬け込んで一定期間(一年から三年)発酵・熟成させて作り上げる(参照URL)。
 現在はこのようにして作る醤油だが、こうした醤油となる前は、醤(ひしお)と呼ばれていた。醤とは、野菜、肉、魚といったものを塩づけにして熟成させたものの総称で、今の醤油のように液体ではなく、固形物に近いものである。それが西暦400年から500年の間に中国から日本へと伝播されてきたが、大半の醤は広がりをみせずにいた。そのような中、穀物を塩づけにした「穀醤(こくびしお)」という醤が広がりをみせてくる。穀醤が広がりをみせたのは、仏教伝来と深い関係を持つと考えられる。殺生を好まない仏教が普及することになれば、必然と醤として人々に受け入れられるものは穀物類へと集約されていったと考えられるのである。
 
 こうして、日本には穀醤が定着していった。そして、時代が下り、平安時代に入った頃、その時代の天皇である醍醐天皇の第4皇女勤子内親王(わかりやすくいうと醍醐天皇の娘さん)のために和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)という日本最古の漢和辞典をつくり、その中に、比之保(ひしお)と和名が書かれるまでに広く醤が比之保として普及されてきたのである。
そして後に鎌倉時代(1254年)には醤油の元になったと考えられる「溜(たまり)」が現れ、安土桃山時代(1597年)に書かれた「易林本節用集(えきりんぽんせつようしゅう)」には「醤油」の文字が記されるまでになり、比之保は醤油へと変化していったのである。  
 
 これら一連の醤油が出来上がるまでの流れをみると、最初は固形物として入ってきた醤が時代を下るにつれて、液体へと進化していく様、そして、最初は醤とよんでいたものを比之保とよびかえるところなど、そのまま入ってきたものを使うのではなく変化、進化させて独自のものにするという日本人の取り入れて発展させる力を感じるのである。奈良の『食』発見ツアーで古代「比之保」をお披露目して、手前味噌ながらそう感じた秋晴れの一日であった。

古代「比之保」←醤油の原型、古代「比之保」











 追伸、今回で奈良新聞連載の食義も節目の50回を迎えることができました☆連載をはじめて足掛け、5年になりました。これもひとえに読者の皆様と奈良新聞社さんのおかげです。改めまして今後もどうぞ宜しくお願い致します☆


2006年10月26日

菊芋のように

 先日、「片上さん、これ食べはる」といって菊芋を見せて頂きました。

菊芋←菊芋です。もりだくさんにあります☆











菊芋←見た目はしょうがみたいですよね。菊芋は見た目はしょうが、香りはごぼう、食感はれんこんといわれています。









 僕はこの菊芋がすごく好きで、特にてんぷらにしたらなんとおいしいことか☆
 うれしことに、「いっぱいもっていってね」といわれて、遠慮なく、たくさん頂きました☆

洗った菊芋←さっそく料理に取り掛かります。まずは、軽く水洗いしました。










菊芋←おおざっぱに(笑)皮をむきます。











菊芋←シンプルに油で揚げます☆











出来上がり☆←完成です☆揚げたてのあつあつのところに少し、塩をふって頂きます。さくさくとした食感、わずかに感じる土の香りとがあいまって、美味☆いくらでも食べれます。








 僕は菊芋はこうして揚げたてを食べるのが一番好きですが、そのほかにもサラダやスープ、きんぴらごぼうの中に一緒に和えたりしてもおいしいです。
 
 この美味なる菊芋はもともと北アメリカ原産で、日本には幕末から明治の初め頃に入ってきたといわれています。最初は家畜の飼料として利用されていたのですが、戦後の食糧難 のなかで「作付統制野菜」に指定され、国民の飢えをしのぐ代用品として配給されたという歴史を持ち、現在は、北海道から九州、日本全国至るところで自生しています。
 ところで、この菊芋はイヌリンという成分が豊富で、その成分は血糖値を下げる効果があることから、天然のインシュリンといわれていいて、身体には優しい食べ物です☆

 ちなみに菊芋は太陽さえあれば、乾燥したところでも強靭に育つといいます。こんなにも身体によくておいしいくて、しかもどこでも育つとは☆
 どこにでも適応し、誰のためにも役立って自らの栄養をプレゼントする。菊の花言葉の一つは高潔(人柄が立派で利欲のために心を動かさないこと)といいます。まさに「菊」芋やなぁと思いました。
 そんな菊芋を食べたら菊芋のように中身のしっかりつまったでかい男になれるかなぁと思って、食べに食べた菊芋でした(笑)


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2006年10月23日

奈良県商工まつり

 昨日、一昨日と奈良県橿原市で行われた商工まつりにいってきました。
 この商工まつりは、食料品をはじめ、維製品、毛皮革製品、木工製品、履物、プラスチック製品、日用品といったいろいろな県内物産の展示や即売を行う催し物です。その中で奈良県醤油工業組合さんのご協力を得て、『なら食』研究会で奈良県産の醤油に関するアンケート調査を行いました。

商工まつり←ところせましと奈良県産の醤油がいろいろとならんでいます☆










商工まつり2←お餅やお豆腐に県内産のいろいろな醤油を選んでつけてもらって食べる試食も行われていました。なかなか、これだけのいろいろなお醤油が一同集まって試食する機会は少ないので、とても盛況でした☆







 アンケート調査をさせて頂いたおかげで、いろいろな方々とお話をする機会がもてました。興味深くお醤油を見る方、味見専門(笑)の方、味見をして質問をさせる方、奈良県にお醤油を作っているところがあることをはじめて知る方、ほんとにお醤油一つにとっても人にとって、いろいろな見方や考え方があるんやなぁと思います☆
 私たちに身近な醤油を私たちの身近なところから味わえたらいいなぁと思い、実践!実践!と、今日の晩ご飯の刺身に奈良県産のお醤油をつけて、新米をぱくぱくと食べる僕でした☆


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2006年10月19日

奈良『食』発見ツアー

 本日は、『なら食』研究会で企画した奈良の『食』発見ツアーを行いました☆
 上は60代の方から、下は20代の方まで、幅広い年齢層でご参加です。
 日ごろの行いがいいのか(笑)、好天に恵まれてのツアーになりました♪
 
蔵見学←はじめに訪れたのは、奈良県桜井市大福にある大門醤油蔵です。みなさん、蔵へと入っていきます。









蔵見学 弐←みなさん熱心に聞いておれれました☆







 



蔵見学 四←熟成させている樽が「ゆっくりしていきやぁ」という感じでみなさんを見つめている気がします(笑)










試食←みなさんで試食もしました☆











 お醤油の香りに浸りながら、蔵の中でお話を聞くと普段使っている醤油がより身近になった気がしますね。
 その醤油の香りを身にまといながら、次はお昼ごはんに清澄の里『粟』に伺いました。

『粟』←清澄の里『粟』の方々に大和の伝統野菜をはじめとしたお話を食べながら伺います☆(この画は、食べる前ですが、笑)









『粟』でごはん←お昼ごはんです☆左下から時計回りに自家製のこんにゃく芋でつくったこんにゃくの刺身、大根の漬物、じゃがいものきんぴら、なすとひもとうがらしの炒め物、ウーハン(奈良独特の里芋の一種)、金糸瓜(きんしうり、別名はソーメンかぼちゃともいいますけど、見えませんよね、苦笑)の酢の物、十種類の雑穀を寒天で固めたもの、タカ黍のパイ包み(奈良で長く作られてきた黍)、大根の漬物、じゃがいものきんぴら湯葉の仏掌芋(山芋の一種)のおろしかけです。


『粟』でごはん 煮物←椀物です。右下から、かち割りかぼちゃの煮物、冬瓜、万願寺とうがらし、秋茄子、高野豆腐に中央は、肉団子に粟をつぶしたもので固めたものです。プチプチとした食感が美味しいです☆








『粟』でごはん 黒米ごはん←黒米ごはんです。もち米品種の黒米をふつうのお米に1割いれて炊き上げると、綺麗な色に染まります。おかわり自由で(笑)美味でした。








 『粟』でお昼ご飯を頂いた後は、竹西農園に伺いました。

竹西農園 弐←お茶のお話をいろいろとお聞きしました☆











お茶の入れ方←とはいえ、やはり、聞くより飲んでみないと(笑)まずはコップにお湯をいれて、60度くらいにお湯を冷まします。









お茶の入れ方 弐←その湯をもって、お茶の葉をゆっくりとひらかせていきます。










お茶の入れ方 参←そして、お茶の濃度が偏らないように、交互に入れていき、お茶の底に旨味成分が沈殿しているので、最後の一滴までしっかりといれます☆








お茶の入れ方 一煎目←一煎目のお茶が出来上がりです☆甘味とうまみ成分(グルタミン酸)が濃厚で、その後には渋さが喉の奥を抜けていきます☆この後は、二煎目、三煎目とお茶を入れました。入れる度に味が変わっていろいろと楽しめます。






記念撮影←最後は、竹西農園のお茶を飲ませて頂いた処の前で、記念撮影です。










 今日は、ほんとに一日天気もよく、絶好の『食』発見日和でした☆
 奈良県内の方々をはじめとして、遠くは岡山県から来て頂き、ほんと感謝感謝の一日でした☆みなさんも楽しんで奈良の食文化を心身ともに味わって満足しておられるように思えます(僕が感じただけかもしれませんが、笑)。
 奈良の食文化を日々作っている人々と参加者とが出会いをもててよき秋晴れの一日になりました☆
 

誕生日

 じつは今日が誕生日でした☆誕生日に奈良の『食』発見ツアーをできたのは幸せものです☆
 そして、誕生日のお祝いを家族にしてもらいました☆
 誕生日は必ず家族そろって、誕生日の人のリクエストで夕飯が決まり、母が作ってくれます。 

誕生日のごはん←誕生日ごはんは手巻き寿司です☆これは末弟の誕生日の日の定番ごはんでもあるのですが、僕がお先にリクエストしてしまいました(笑)。みんなでわいわい話しながら、思いっきり海苔を頬張りました☆いいお魚を奮発してくれた母のおかげで、満足のお味でした☆





 そして、すかさず、甘いもの好きの僕はケーキに突入します(笑)

誕生日ケーキ←誕生日ケーキです。としきくんがちょっと笑ってしまいますが(笑)










 一年の計は元旦にあり、とはよくいいますが、一年の計は誕生日にあり、とも僕は思います。誕生日を迎える度に、「この日に生まれたのだなぁ」と思うと、両親への感謝が募って、年を重ねるにつれて感謝をもらう日から、感謝をプレゼントする日になってきている気がします。
 それに、今年もたくさんのおめでとうを家族、先輩、後輩、先生、友人、大切な人から言葉やメールを頂き、また甘いものが好きな僕なので甘く美味しいプレゼントもたくさん頂きました。おかげで僕の心はバニラのように甘くいい香りいっぱいになりました。

 一年の計は誕生日にあり、と思えるほど、よき方々を過ごせたよき誕生日でした。またここから「一年」がスタートです。そう思えることに、心の底からありがとう☆です☆


2006年10月18日

あったか葛湯

 最近、奈良の朝夕はほんとにひんやりとしてきました。うっかりすると風をひいてしまいそうなくらいひんやりとしています。僕はそんなひんやりした夜には葛湯をよく飲みます。

葛湯←先日、購入した新潟県で作られている紫蘇味の葛湯です。










 たまたま立ち寄った百貨店で新潟の物産展が行っていて、葛湯を扱っているコーナーを通ると「食べて!食べて!」とご年配の女性に呼び止められて頂きました。これがまた美味。葛のとろっとした食感と砂糖の甘さ、紫蘇の塩味がほんのりとあって、いいお味でした。ちなみに、話の中で「この葛はどこの葛ですか?」と聞くと、奈良県の吉野産とのこと。その吉野産の葛と、地元新潟の紫蘇とを合わせて作っているといっておられました。
 奈良産の葛が遠く、新潟に行き、新潟の紫蘇と一緒になってまた奈良にもどってきいているのに、不思議な感じがしました☆

 ところで、葛は全国いたるところの山地に自生する多年草のつる草です。茎は長く伸びて他物に巻きつき10m以上にもなります。根は太さ20cm位にもなり、良質の澱粉が多く含まれています。この粉で昔から葛餅や葛菓子が作られてきたのですよね。
 葛は、漢方薬では葛根といって、発汗、解熱作用があるので、風邪のひきはじめや、胃腸の具合が悪い時に葛根湯を飲んだりしますよね。まさにこの時期に葛湯を飲むのは、ベストかと☆
 さっ葛湯を飲んで明日もがんばろう☆



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2006年10月15日

日本酒(清酒)の「美味しさ」

 本日は『なら食』研究会のメンバーと一緒に奈良県桜井市にある今西酒造さんのところに酒蔵見学に行き、いろいろと日本酒についてのお話を聞かせて頂きました。奈良は清酒発祥の地であり、現在は約30件ほどの造り酒屋があり、全国的にみてもその数はトップクラスに入ります。今回で酒蔵に見学に行くのは三回目のなのですが、日本酒が好きな僕にはいつもわくわくします☆
 日本酒(清酒)ができあがるまでは、いろいろな菌やカビの力が働いていてとても興味深いものがあるのです。

            【日本酒(清酒)の作り方】 

 「普通」、日本酒(清酒)は、精米したお米を蒸して米麹(コウジカビ(デンプン質を糖にかえる働きをするカビ)がいっぱいついたお米。蒸したお米とコウジカビをまぜてつくります)をまぜて、酒母(酵母菌(糖をアルコールに変える働きをもつ菌)がいっぱい繁殖している液体状のようなもの。蒸し米と水と米麹と酵母をまぜて作ります)を加えて、水の中に入れて、もろみ(=蒸したお米+米麹+酒母+水)を作ります。
 
 このもろみの中ではいろいろな戦い(笑)が起こっています。
 まずはじめに、米麹君が精米されて蒸しあがって綺麗になったお米さんに、わぁーーーと飛びついて、お米さんがもつ最大の魅力であるデンプン質に抱きつきます(笑)。そのお米さんのデンプン質に抱きついた米麹君はお米さんと両思いなり、周りにあまーい雰囲気(糖分)を醸し出します。それを見ていた酒母(いわば、お米さんのお父さんかな、笑)が、その甘さに少し腹を立て、甘い雰囲気をちょっと変えてやろうと来ます。お父さん酒母は、甘い雰囲気(糖分)をぱくぱくと食べて、甘くないアルコールにしていきます。
 しかしながら、お米さんと米麹君の仲もかなりいいため、アルコール一色にはなかなかなりません。それにお米さんと米麹君もお父さん酒母にわかってもらおうとして、いろいろとがんばります。この「がんばり具合」やお父さん酒母の「二人(?)の関係に対する理解度」によって、家族の仲(日本酒としての味)が決まります。
 
 このようにしていろいろな戦いがあり、その戦いの数だけ、いろいろな日本酒家族ができてくるのです(ほんまかいな、笑)
 そして、こういった熾烈な関係に対していろいろと仲介に入るのが杜氏(酒を造る職人)なのです。米、米麹、酒母、水との関係はもちろんのこと、それらの原材料が入る桶や蔵づくり、気温、湿度、熟成具合など、あらゆるものを考慮して、日本酒を生み出していきます。そこがまさに「腕」の見せ所です。
 そうして、作ったもろみを濾過すると日本酒(清酒)の完成です☆


            【日本酒(清酒)造りの工程】

蒸し釜←この大きな釜でお米を蒸します。今は酒造りの時期ではないので、ひっくり返って寝ています(笑)









蒸し所←上の写真の右に見えるくぼみの写真です。ここから、蒸気を吹き上げて釜の中のお米を蒸しあげていきます。









室←「麹室」と呼ばれるところで、「麹」を造るための高温多湿な「室」です。麹造りは酒造りの要になるので、しっかりと管理(雑菌の侵入や温度管理)しなければなりません。そしてここでどれだけしっかりと米麹を作るかが、大事になってきます。ちなみにこの麹室築150年とのこと。うーん、すごい。





からし←「枯らし」と呼ばれるところで、出来上がった米麹の熱をここで冷まします。










タンク2←タンクにいれて、醸し出していきます。











搾り機←しっかりと醸し出したら、圧搾機でしぼって完成です☆圧搾機で搾る以外にも、もろみを袋につるして、自然と濾過してしぼるやり方もあります☆








利き酒←そして、利き酒をして楽しませて頂きました。それぞれに特徴があって、美味しかったです☆個人的には一番左に写っている5年寝かせた純米大吟醸のお酒が甘み、酸味のバランスがよく、舌と鼻孔を包み込むような優しく暖かいお酒でよかったです☆ちなみに、後ろに移っているのは『なら食』研究会の美しい女性メンバーです☆




 蔵を見学させてもらい、お酒も頂いて、とてもいい一日でした。今西酒造さんありがとうございます☆
 そして、以下は日本酒(清酒)を種類別に少しまとめてみました。よかったら何かのご参考までに☆

      【日本酒(清酒)の種類と使われている原材料】

「普通酒」 
 特定名称酒(以下書いたのお酒以外のお酒のこと)以外の酒で、廃糖蜜(砂糖の搾りかす)を原料として工業的に作られるアルコールとブドウ糖や水飴等の醸造用糖類を合成して作られたお酒。

「本醸造酒」 
精米符合(※)70%以下の米、米こうじ、醸造アルコール、水で作ったお酒。

「吟醸酒」
精米符合60%以下の米、米こうじ、醸造アルコール、水で作ったお酒。

「大吟醸酒」
精米符合70%以下の米、米こうじ、醸造アルコール、水で作ったお酒。

「純米酒」
精米符合70%以下の米、米こうじ、水で作ったお酒。

「純米吟醸酒」
精米符合60%以下の米、米こうじ、水で作ったお酒。

「純米大吟醸酒」
精米符合50%以下の米、米こうじ、水で作ったお酒。

※精米符合:清酒をつくる時は、お米の中心部分にあるデンプン質のみを使った方が余計な雑味がなくなるので、精米していってデンプン質の周りにある成分をとっていきます。そうしてとっていって残ったお米の割合のことをいいます。パーセンテージが低いほど高度な技術がいります。 

 ちなみに、平成15年度の日本酒の総出荷量は84万3685kℓで、その割合は、吟醸酒(大吟醸を含む)3.6%、純米酒6.7%、純米吟醸酒(純米大吟醸を含む)3.3%、本醸造酒12.5%、普通酒73.9%とのこと
(参考資料:国税庁課税部酒税課 「酒のしおり」 、特定名称の清酒のタイプ別課税移出数量の内訳表(国税局分)より)。 

 冒頭に紹介したみたいに、ほんとに「普通」に作られているお酒が、全体の10%しかなく、「普通酒」と呼ばれているのに普通じゃないお酒が日本酒市場の7割以上を占めているのが残念やなぁと思います。
 だから、もっと普通のお酒を増やすためにもいっぱい飲まないと!(なんて、笑)


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2006年10月13日

「送別」

 本日は、同僚の人事移動による送別会でした。
 何気ない居酒屋での送別会でしたけど、とてもみんなの雰囲気がよくて明るく楽しめました。
 けど、僕はこういった別れはどうしても寂しい気持ちになってしまいます。別に会えなくなるわけではないのですが、いつもそこにいたあの人がいなくなることが無性に寂しくなってしまうのです。心と心が離れたわけではないから悲しくはないのですが、やっぱり寂しいなぁと思います。
 けど、同僚は新しい職場で元気いっぱいに働ける雰囲気を醸し出しておられました。ご本人は、「家からかなり近くなるから嬉しいわぁ」ともおっしゃられていました(笑)。そして、なにより、お子さんが生まれたばかりなので、距離が近くなってよかったと思います☆
 とはいえ、僕の飲んでいるビールがいつもより苦く感じた気がした送別会でした。


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2006年10月12日

紫とうがらし

 いつもお世話になっている「清澄の村」代表の三浦さんから紫とうがらしを頂きました☆

むらさきとうがらし←鮮やかな紫とうがらしです。紫とうがらしは奈良市米谷町で100年以上も前から作り続けているお野菜で、地元では佃煮などにして食べています。








むらさきとうがらし←しかしながら、僕は炒めてみました☆ごま油でさっと炒めます。紫の実がみるみるうちにより鮮やかになっていきます。仕上げに奈良醤油をさっとかけて完成です☆








むらさきとうがらし←お皿に移すころには、なんと緑色に変化していました!熱を加えることによって、その身を変化させるとは…びっくりです☆









 紫とうがらしは、大体、4月上旬に種をまいて収穫は7月から10月まで行われます。とうがらしと名乗っていますが、辛味はほとんどなく、ほんのりとした甘味と苦味があってご飯がすすみます(笑)
 紫とうがらしは市場流通に至るまでの生産はありませんが、清澄の村では紫とうがらしの種を保存し、栽培していろいろと活用しています。
 そんな奈良の土地と人が育んできたお野菜を頂けて感謝感謝の晩ご飯でした☆


2006年10月09日

うるめいわし雲

 最近は天気のいい日が続いて気持ちのいい秋空が続いていますね。秋の空は高く澄んでいて、それでいて夕焼けが綺麗な気がします。そんな秋空の夕暮れを見上げると美味しそうな雲が☆

いわし雲←いわし雲(この前はさば雲といいましたけど、笑)に一本、串がささっているではありませんか!これから焼いてくれといわんばかりの美味しそうないわし雲です☆








 そして、自宅に帰っての晩ご飯はうるめいわしを食べました(偶然ですが、笑)

うるめいわし←大分県産のうるめいわしです☆漢字では潤目鰯と書きますよね。これは大きな目が潤んでいるように見えることから名付けられたといわれています。秋が旬のちょっとほろ苦くて美味しいお魚です☆








うるめいわし定食←そんなうるめいわしをメインとした定食が晩ご飯でした。ひじきごはんに、ごま油で秋ナスと秋ピーマン(秋ピーマンとはいわないかな、笑)と豚肉を強火でパッと炒めて、軽く塩コショウして、最後にさっとオイスターソースをかけた片上特性の簡単(手抜きともいいます、笑)青椒肉絲(チンジャオロース)とうるめいわしです。うるめいわしもうまく焼けて、炒め物をうまく炒められたので美味しく頂けました☆


 「鰯の頭も信心から」
 秋空と晩ご飯で美味しいいわしを目と口から頂けたので、今週もよき週になると「信じて」行ける気がした週初めの晩ご飯でした☆


2006年10月06日

月の虹

 今日は月が綺麗で月光浴をしました。

月←きれいなお月さん☆なんですけど、写真はぼやけています(笑)










 僕のうちのベランダの手すりにもたれかかって、のんびりと月の光を浴びるのはいいリラックスタイムになります☆
 僕はそんな月が雲の服を着る瞬間が大好きで、月のまわりを薄い雲が通ると月の光が雲に反射してうっすらと月のまわりに幾重にも重ねた虹色が見えます。今日は赤、橙、黄、緑、青、藍、紫がしっかりと見えました☆
 しかしながら、花より団子の僕ですから(笑)月見団子ならぬ月見酒を頂くことにしました。

fu←月見酒に選んだ「Fu」です。このお酒は、兵庫県加西市にある「富久錦」という酒造会社がつくっているお酒です。このFuは、日本酒なのですがアルコール度数が8〜9%と低めで、月の光のようなふわっとしたやわらかさと甘みが特徴のお酒です。






 Fuを片手に、ベランダの椅子に腰をかけながらのお月見はとてもいい時間になりました☆
 綺麗な月の夜に人はこうしてあの月を見ながらいろいろなことを思ってきたのかなぁと思います。だから、今日の中秋の名月をはじめとしたいろいろな月に関する祭事が生まれてきたのでしょうね☆
 さて、僕はというと、今宵の月の光を浴びてツキがつきますようにと願うことにします(笑)


2006年10月05日

ムコダマシのように

 田を見に行った時に僕がいつもお世話になっている『粟』にもよらせて頂きました。

『粟』からの景色←『粟』からの風景です。この日はとてもいい天気で大和平野がよく見えます☆










 その『粟』のすぐ横にある畑で、これまたたわわに実っているムコダマシを見せて頂きました。

むこだまし←ムコダマシの畑です。












むこだまし2←綺麗に実っています☆











 ムコダマシは粟の一種で、その中身は綺麗な白色であるのが特徴の奈良特有の粟です。
 このムコダマシは元々、奈良の十津川村の山間地で作られていたのですが、作り手がいなくなって絶滅しかけていました。そこに『粟』の店主である三浦雅之さん、陽子さんご夫妻が、十津川村に足を運び、農家の方から種をわけて頂いてその種の思いをつなぎ、ここ高樋町で作り続けています。
 ちなみにムコダマシの由来ですが、普通、多くの粟の品種は脱穀すると黄色になるのですが、ムコダマシは脱穀したものは白色をしています。これで餅を作ると、まるでもち米でつくったかのような粟餅ができます。昔は雑穀類が主食でお米は貴重でしたので、ムコダマシで作ったお餅でお「婿」さんを「だませ(し)」たので(そんな悪意はないと思いますが、笑)、ムコダマシという名がついたといわれています。
 そしてなにより、このムコダマシで作った粟餅はとてもおいしいのです☆
 これなら、お嫁さんの料理の腕がやや足りなくてもカバーしてだませるかと(あくまで僕の想像による独断と偏見ですが、笑)
 
 昭和30年代までは、お米よりこうした雑穀類の生産の方が多かったと聞きます。この30〜40年で大きく生産量は変化しましたが、今、こうした雑穀類は昔の主食として食べる雑穀とは違った形で、僕たちの食生活の中に入って平成の世を生きていくんやなぁと思います。
 けど、ムコダマシからしたら、「私たちはいつの世もムコダマシやで。ムコダマシとしての生き方はなにも変わらへんよ」と、俗物の僕はいわれてしまいそうですけど(苦笑)


2006年10月04日

彼岸花

 清澄の里でお馴染みの奈良市高樋町に行って来ました。6月に植えた稲が綺麗に穂をつけています☆

実り穂←たわわに実っています。











実り穂2←かなり、もうふさふさです☆











実り穂と彼岸花←彼岸花がそっと咲いていました。田んぼにそっと寄り添って、花咲く彼岸花は美しくもありながら妖艶にも感じるのは僕だけでしょうか(笑)









 収穫のその日はもうすぐです。楽しみです☆



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2006年10月01日

姫路城に御座候

 10月になりました。秋の装いもこれから一層深まっていきます。10月もまたいろいろと楽しみな月です(食べ物が、笑)
 そんな10月の月初めに、姫路城を見に姫路に行ってきました。

姫路城←姫路城です!関西に住んでいながら、はじめてきました(笑)










白鷺城←間近でみると迫力です。姫路城は別名、白鷺城と呼ばれているくらい、綺麗なお城でその意味が十二分にわかりました。生で見たこの風景は、まるで白鷺が羽を大きく広げているようにも見えました。今にも飛び立ちそうです(笑)
 





 この姫路城は1618年に現在の姿を完成させて以来、一度も戦火や災害に壊されることもなく、今日までその姿を保っていると聞きました。
 「保ちつづける」
 いろいろな自然環境や歴史や人の手によって保ち続けているのは、ほんと「すごい」の一語です。 

 といいながら、僕が姫路に来たのは、もちろん、姫路城を見に来たのですが、それ以上に姫路が発祥といわれる御座候を頂きにきたのです。やっぱり、色気より食い気でして(笑)
 
御座候←御座候です。右が黒餡で左が白餡です、といってもわからないですよね(笑)










黒餡←黒餡です☆











白餡←白餡です☆











 どちらとも甘すぎずいいお味でした☆
 ちなみにこの御座候は姫路に本社がある「御座候」という会社が作り発祥となったもので、お買い上げ頂いて、ありがたく御座候(「ございます」の丁寧語)という感謝の気持ちを品名にしたことに由来するとのこと。ところで、この御座候というのは、今川焼き、回転焼き、大判焼き、たいこまんじゅう、といった感じでいろいろな呼び名がありますよね。御座候を食べに行っておいてなんですが、僕はたいこまんじゅうか回転焼きと呼んでいます(笑)
 
 同じ作り方なのに、地域によって呼び名が違うのは面白いですよね。やっぱりそのものを食べる時に人が感じるものというのは、同じものであってもいろいろと違うんやなぁと思います。そうして、その感じたものが共感をよんで、その地域に定着していくのですよね。
 もし、僕がはじめてこの御座候(姫路に敬意を表して、ここではこう呼びます☆)を作って食べたらなんてネーミングをつけるやろうと思いました。
 うーん…大仏まんじゅうかな(笑)