2007年02月

2007年02月25日

糊こぼしと春

 先日、「糊こぼし(のりこぼし)」を頂きました☆
 
糊こぼし萬々堂通則の糊こぼしを頂きました。綺麗な椿の箱に入っています。










糊こぼし←開けると椿の形と彩りをもった糊こぼしが入っています。










 糊こぼしは、東大寺二月堂で毎年3月1日から3月14日に行われる修二会(しゅにえ=国の安泰と豊楽を祈り、人々に代わって自他の罪とけがれを懺悔するという法要(仏教の儀式)で、西暦752年から現在に至るまで続けられている奈良を代表する行事の一つ)の時期にのみ食べられる和菓子です。
 糊こぼしは、手亡(白いんげん)、鶏卵、本紅、砂糖、餅粉で作られており、口当たりも優しくさらさらっとしています☆

 もともと糊こぼしとは、修二会の時に、間中(まなか=柱と柱の間隔、1.97mの間に)須弥壇(しゅみだん=仏像を安置する台座。須弥山をかたどったもの)の四隅が『糊こぼし』という種類の椿の造花で飾られており、それにあやかって作られいるお菓子です。

 修二会、いわゆる、お水取りが終わると奈良に春が来るというは昔からいわれていますよね。もうすでに春のような陽気が続いているこの頃ですけど、こうして季節のものを感じながら(食べながら、笑)、今年もよき春を迎えたいと思いました☆


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2007年02月20日

お麩ランスパン

 先日の日曜に奈良の斑鳩町で行われた知床の世界自然遺産と法隆寺地域の仏教建造物の世界遺産(文化遺産)世界遺産地交流行事にいってきました。(この世界遺産地交流行事で『なら食』研究会で作った醤油の始原である「比之保」が展示されていました)。

 その中で知床と斑鳩の物産展が行われており、知床・斑鳩の特産品がいろいろと並んでいました。その中でふと目が着いたのが斑鳩の特産品である「お麩」でした。

やまと麩←「やまと麩」といわれる斑鳩のふ政商店さんが作っておられるお麩です。










 僕たちが普段、目にするお麩は、小さく切られたものが多いですが、これはまるでお麩ランスパンのようです(軽いシャレで、笑)。
 
やまと麩餡←やまと麩をパンを切るようにして切り、少し焼いて餡をのせてみました。小麦粉のグルテン(小麦粉に水と塩を加えて、デンプン質を洗い流した後に残るチューインガムのような硬さをもつ小麦タンパク質)の柔らかいさくっとした食感がとても美味☆新鮮なお麩の食べ方を発見しました☆





 お麩は日本料理には欠かせない食材ですよね。
 もともとは中国で肉や魚を食べれない禅僧の貴重なタンパク源として重宝されていたようで、それが鎌倉時代に日本に入ってきたといわれています。
 僕たちが普段、目にするお麩はお吸い物やおかずとして使うイメージがありますがこうした食べ方も楽しめていいですよね☆お麩ランスパンのおかげです☆


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2007年02月17日

あたたかい一日

 本日は、高校、大学ととてもお世話になった先輩の結婚式が京都の北山であり、行って来ました。今日ばかりは食い気を抑えて(笑)先輩へのお祝いの気持ちいっぱいで向かいました。

記念撮影←友人一同での記念撮影です。新郎はやんちゃなことをしていますけど(笑)






キャンドル←みんなでキャンドルを片手にふぅっと吹き消しました。










 こうしてキャンドルを吹き消すことを行うのは、心の中で願いを込めて、一息で吹き消すことができると、その願いが叶うという意味があります。
 元々はギリシャ時代、月の女神アルテミスに献じられたハニーケーキがその原型といわれていて、満月の夜に神官が一息で女神に献じられたケーキのキャンドルを吹き消すことができれば、女神が味方しているということを示していたといいます。
 僕達に身近な誕生日ケーキの上にのせたキャンドルを吹き消すというのも、これが元で、年の数だけのキャンドルにもう一本を願い事用のキャンドルをプラスするのが正しい姿といいます。
 
 誕生日ケーキでいうと、心の中で願いごとを唱え、一息で炎を吹き消し、全部消えれば願いは一年うちに現実。火のついたキャンドルがのこってしまったら、その残った本数の年数だけ願いの実現を待たなくてはならないのです(つらい!)。
 ちなみにこの願い事を叶える力はおすそわけができ、願いごとがある人は、自分の指輪をキャンドルに通しておいて、指輪がおかれているキャンドルの火が消えたら、持ち主の願いもかなうといいます。

 さすがに指輪は通しませんでしたが、精一杯、「お幸せに」と願いをこめて吹き消しました。
 寒の戻った2月の空でしたけど、とてもあたたかい気持ちになれた一日でした☆


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2007年02月14日

第2回 奈良の『食』発見ツアーのご案内

 2月なのに梅が咲くほどあたたかい今日この頃の奈良にて、美味しいお知らせを☆
 3月1日に『なら食』研究会という会で奈良の食にふれ、食べ、楽しめるツアーを行います。
 ご興味のある方は下記のご案内をご覧頂ければ幸いです☆

☆第2回奈良の『食』発見ツアーのご案内☆

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2007年02月13日

最中のこころ

 僕が甘党なことは食義の甘いものがでてくる比率でお分かりと思います(笑)
 そんな中、先日、奈良の甘いものとして名高い白玉屋榮寿の最中、通称、「みむろの最中」を頂きました。

もなか←このように入っています☆











 みむろの最中は餡をつつむ皮が、硬すぎず、柔らかすぎずと絶妙な頃合で作られていて、餡との相性もとてもいいのです(やや餡は甘めです)。
 そしてなにより僕が好きなのは、写真でも見えるように、最中にくるっと紙の帯がついているところなのです。箱に最中がしっかり並んでいると、どうしても最初の一つがとりにくいものです。けど、このようにして帯がついているとすっと取れます。

 一見、最中の味とはなんの関係もないことで些細なことかもしれませんが、この帯一つから食べ手への気配りを感じることができます。そんなふとした優しさが「味」へとつながると思うのです☆


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2007年02月10日

お米のロールケーキ

 今日はおやつにお米のロールケーキを食べました☆

お米のロールケーキ←当然ですが、お米で作ったとは思えません(笑)










 とても美味しく、味も小麦粉で作ったものとほとんど変わらないので、小麦アレルギーなどがある方にとっては安心して食べれますよね。
 ところで、一日3合は食べている僕にとってはあまり実感がないのですが、日本のお米の消費量は年々下降傾向にあるのはご存知の通りです。例えば、昭和35年に1年間で食べる一人当たりのお米の量は114.9キロでしたが、これが2005年(平成17年)には、61.4キロまで減っています(農林水産省「米の消費動向等調査」より)。
 
 約半世紀で半分近く減ってしまったのですよね。この消費を増やすかどうかということは、いろいろなことが絡むかなり難しい問題だと思うのですけど、お米をごはんとしてそのまま食べていくのに加えて、お米の加工食品として代表的おせんべいやこうしたロールケーキにしっかりと力を注いで、ちょっと「美味しい」価値を付けて食べれる機会が自然と増えればいろいろな人たちが笑顔になるかも、と、お米好きの僕は思ったりします☆



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2007年02月07日

中身の強さ

 先日、母が買ってきてくれたなまこで酢漬けを作りました。

赤なまこ←赤なまこと青なまこです。











なかわた←内臓を綺麗にします(少々、写真でとるとグロテスクですが)。










なかわた←なまこはえさと一緒に砂も食べるので、腸が砂でいっぱいですが、これを綺麗にこして、塩辛にするとあの高価な「このわた」の完成です。








くちこ←砂を綺麗に取ると透き通るようです。











酢漬け←なまこ本体は三杯酢(酢、醤油、本みりん)につけて一晩おいて本日完成です。










 旬のなまこの味は格別で、こりこりとした食感が醍醐味であることはもちろんのこと、口に入れるとこりこり感と一緒にさわやかな磯の風も感じるような爽快感がありました☆
 なまこはなんといっても、見た目が特徴的です。けど、見た目とは違って、とても爽やかな持ち味をもっています。それになまこは、外敵に襲われたりすると、自らの内臓を吐き出して敵をびっくりさせて逃げるともいいます。けど、2〜3ヶ月で再び再生するといいます。
 
 見た目ではなく、自らの「中身」を新しく作れる自分らしい強さがあるからこそ、こんなにも爽やかな味が出せるのかなと思います。うーん、見習うところが多い…と思っていたら、知らぬ間に完食してしまいました(笑)


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2007年02月04日

食義53 如月編 「豆乳と豆腐と奈良」                                       2007年2月4日 奈良新聞掲載記事

 今年はいつもより暖かい日が多く、まさに暖冬だなぁと感じる日が多いこの頃ではあるが、やはり朝晩は寒いもので、ついつい背中を丸めて文明の利器に頼ってしまうことも多い。そんな私は、寒い朝晩を乗り切るには文明の利器より温かい食べ物を食べるに限るという持論をもっていて、身体の内側からあたたかくしていこうといろいろと朝晩の食事を考えるのが楽しみのひとつでもある。
 
 先日、そんな寒い朝の朝食時に、私の食の先生でいつもお世話になっている奈良市高樋町にお住まいの農業の女神様から頂戴した黒豆で作った豆乳を頂いた。普通、豆乳というと大豆で作るのだが、黒豆で作った豆乳はほんのりと色がついており、見た目も食欲をそそる彩りである。私はその頂いた黒豆豆乳を朝に温めて飲むことにした。豆乳の栄養価は周知の通りであり、あたたかい豆乳を朝に飲むと、じんわりと胃に溶け込んでとても美味しい。それに肌にもとてもいい感じがする(私がいっても仕方ないが、笑)。
 
 そして、夜はなんといってもこの時期は鍋であろう。特に私は手軽に美味しくできる湯豆腐を食べることが多い。水をはった鍋に昆布をいれて、三十分ほどつけておき、火をかけ、豆腐を入れて煮あがったら完成である。新鮮な白菜や水菜があると時は、そういったものをいれて彩りをつけてもよい。あつあつの土鍋を持ってこたつ向かい、はふはふと食べるだけで身も心もあたたかくなるものである。
 
 朝に豆乳、晩に豆腐と冬には大活躍の豆豆コンビであるが、この豆豆コンビの日本における発祥が奈良であることはご存知であろうか。豆豆コンビである豆乳、豆腐の歴史は古く、奈良時代(七一〇〜七八四年)に遣唐使によって伝えられたとされている。記録としては一一八三年に春日大社のお供物の記録に「春近唐符一種」と記されており、この「唐符」(=豆腐)が最初の記録というから、その時代から冬の朝には豆乳を飲み、その豆乳を用いて夜には湯豆腐という食事をしていたのであろう(あくまで、私見である)。
 
 ところで、今でこそやわらかくて口当たりのよい食感が特徴の豆腐であるが、遣唐使によって中国から伝来してきた時の豆腐は水分が少なく、かなり堅いものであったという。この時の豆腐は奈良豆腐といわれ、一部の人たちが食べるにとどまっていたのだが、時代が下り、室町時代以降には、多くのたちが食べるようになった。
 
 そして、その中で最初は硬かった豆腐が、いろいろな人が食べることによって、「もっと水分を多くして柔らかくしたら美味しいかも」と試行錯誤し、現在の柔らかい口当たりのよい日本独自の豆腐を作り上げてきたのである。
 中国から伝来した豆腐作りの基本をふまえつつ、自分たちの好みにあわせて新たな味を作り上げていった先人たちの柔軟さを頭の固い私は見習いたいものである。