2008年07月

2008年07月30日

柿の葉ずし

 ほんとに暑い日が続いていたのですが、奈良は先日の雨でだいぶ過ごしやすくなりました。特に夜は一時期に比べるとぐっと過ごしやすくなって勉学に(?、笑)最適です☆

 とはいえ、まだまだ暑い奈良ですが、そんな奈良の夏のごちそうといえば、柿の葉ずしです☆
 柿の葉ずしというと、一見(あくまで一見です、笑)、「ごちそう」というイメージがないかもしれませんが、奈良の吉野川に沿った地域(五条、大淀、下市、吉野、東吉野、川上等)や奈良盆地の南部地域で行われる夏祭りの7月にかけてよく作られるハレの日のごちそうです☆

【ごちそうは、交流より産まれし】 
 もともとは、江戸時代中頃に、和歌山(紀州)の漁師の方が、熊野灘でとれた鯖を塩でしめたものを吉野川付近の地域の村々に売りに行ったということがあって、その時期が夏祭りの時期だったといます。
 そこで、奈良のお祭りと和歌山の鯖がめでたく交流して、夏祭りに柿の葉ずし(あるいは、柿の葉に包まないさばずし)を食べるようになったといいます。
 和歌山の漁師の方が、「奈良に売りに行こう!」と思わなければ、柿の葉ずしは誕生しなかったと思うと、やっぱり、人の「思い」「行動」は創造の原点だなぁと思います☆

鯖←そこで、柿の葉ずしを作ってみます☆まずは、塩鯖を柿の葉に包みます。柿の葉もその多くは人件費等の関係で市販の柿の葉ずしの葉は輸入が多いのですが、自分でもいで(許可はとって、笑)ちょっとふきんでふくとすぐに使えます☆そして、酢飯で包むと…







箱←完成です☆今はお酢があるので、あまり、乳酸発酵させて、いわゆる「ずしらしさ」を出す時間を取る必要はなくなりましたが、昔は、あまり酢が一般に広まっていなかったので、しっかりと寝かせていたといいます。







箱←1日ほど置いて…












柿の葉ずし←いただきます☆











【ごちそうのベース】 
 ごちそうは、人によっていろいろと違ってきますが、「普段食べることのできない食べ物」というのは、ごちそうといえる一つの基準になると思います。
 250年から300年前、奈良では普段食べることがなかなかない海の魚を目にした時、そこから、身近で手に入る食材を足していって、ごちそうを「できるだけ多くのみんなと一緒に食べることができるように☆」と考えたのかなぁと思います☆

 もちろん、これは僕の勝手な想像です(笑)
 けど、人と食と歴史とはそうしてつながってきてるのかなと☆
 そして、奈良にそうした姿をみたら、その姿をありのままとして抱きしめて、ベースにしてゆくことは、奈良で作る「ごちそう」に必要かなぁと、柿の葉ずしを頬張りながら思う涼しき7月の夜です☆



syokugi at 22:30|PermalinkComments(4)TrackBack(0)clip!食文化 

2008年07月17日

八雲立つ

 今日は、僕の愛すべき母校の一つ奈良県立大学に足を運びました。懇意にしてもらっている先生からいろいろと研究のアドバイスを頂き、さらに励まねば!と気合を入れて頂きました☆

 そして、その帰路、ざぁーーっと雨が降り、すっとやんだ空をみると…

夏空←綺麗な夏の空が広がっていました☆











 古事記に載っている日本最古の和歌、「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」 を、ふと、思いました☆写真の空は平城宮跡で見たもので、平城宮跡からみる空は、なぜかとても綺麗だなぁといつも思います。

 そんな空と励みを頂いた日は、ちょっと乾杯するかなと思い、一杯頂きました☆

鹿王の宴←今夜は芋焼酎で☆芋焼酎といえば、鹿児島や宮崎が有名ですが、この芋焼酎は、奈良で唯一醸造している芋焼酎で奈良県産のさつま芋と黒麹(※)を使って造った生粋の奈良焼酎です☆








 よし!また「今」から精進していこう☆という気持ちを頂きました☆


※黒麹:麹菌を蒸したお米にふりかけて、米のでんぷん質を糖化して、その糖分をアルコールへと変えていくのが、お酒造りの基本ですが、その中でも黒麹は、クエン酸を多く作る力があります。クエン酸は防腐効果があるので、温暖な九州の気候の中で焼酎を造る際に、必要な麹なんだなと☆
 もちろん、味にも大きく影響しますので、その技術が、九州以外で作られる焼酎にも使われているのですね☆



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2008年07月06日

食義70 文月編 「観光食文化論」                                       2008年7月6日 奈良新聞掲載

【はじめに−奈良の食の文化のイメージについて−】 
 先日、奈良県内において観光に訪れた人々に対して、奈良県の食の文化に興味が持っているということを聞くと八割の人々が興味をもっているという回答をえた。もちろん、食の文化といっても多様であり、大きな括りではあるが、奈良の食の文化に何かしらの興味や関心をもっている方々が多いということは興味深いことであった。
 奈良の食の文化というと従来までは、よいイメージで捉えている人は少なかった。しかしながら、歴史的にみても奈良は日本を代表する食が、根付き、充足し、発展した地であるということは推測に難くなく、そうした食の文化の始原を基とした資源を奈良は現在でも内在している。調査に協力して頂いた方々も潜在的に感知しているのかなぁと私は思ったのである。

【奈良の食の文化を創り出している地場の食産業】
 そのような奈良の食の文化の基盤を引き継ぎ、現在、私たちが実際に味わえる形として、日々、生産しているのが、奈良の「地場の食産業」である。私達が良く知る柿の葉寿司や茶粥はもとより、葛、茶、醤油、酢、酒、味醂、味噌といった日本人ならだれしも馴染みの深いものが、現在の奈良の地場の食産業として脈々と息づいている。こうした地場の食産業の共通点は、冬・夏時期を中心として、自然との関係を保ちながら醸造、製造しているものが多い。
 それらの生産プロセスは、手前味噌ながら、私が所属するNPOで実際に体験型学習ツアーとして現場に訪れさせて頂き、その折に生産現場の迫力、見応えを私は肌で体感した。しかしながら、こうした地場の食産業の生産現場というのは、一般としてなかなか見る機会は少ない。その要因の一つとしては、日々、生業として真剣に食物の生産に取り組んでいる現場をみせてもらうということに対して、見る側の品格が問われるからであると考える。

【観光する品格】 
 私のことは棚上げして述べるが、旅の恥は掻き捨てではないが、観光という人々の活動において、その「見方」についての品格を問われることは少ない(もちろん、物見遊山的な観光を否定しているわけではないが)。さらに少々生意気なことをいわせてもらえば、これまで地場の食産業も観光者(消費者)に「みせる」という意識を持ちにくい環境でもあった。
 こうした互いがもつ問題点はあるものの、それをクリアし、お互いをしっかりと「つなぐ」ことができれば、観光者にとっては奈良の食の文化を知り、味わえる楽しみが生まれ、地場の食産業にとっては、より多くの人々に奈良の食の文化の真髄を食してもらえるというきっかけにもなり、互いに富める関係になると思うのである。

【奈良の年間観光客数と地場の食産業とのマッチング】  
 ちなみにデータとして、近年の奈良の年間観光客数は3500万人前後であるが、その入り込み客数の内訳を月別にみると、2月、7月、3月の順に、冬、夏時期の入り込み客数が少ない現状がある。一方、奈良の地場の食産業の旬は、冬・夏にある。こうしたことからも、奈良には人々を魅了し続けていける資源がある、と私は思うのである。


2008年07月01日

農業と観光

 先週末、神戸のポートアイランドにある神戸夙川学院大学で開催された「農業と観光セミナー」に参加しました。

農業と観光←会場は満席で熱気いっぱいでした☆











 セミナーは、まず初めに農林水産省の方と国土交通省の方が基調講演をされ、日本の農業についての基本的なデータと概要をお話し、その後に日本の観光産業についてお話された上で、現場での実践者の方々を交えたパネルディスカッションへという流れです。日本の農業、観光産業についていろいろとお話を頂き、勉強になりました☆
 その中で特に思ったことは、今、国内の自給率の問題が盛んに取り扱われていますが、農業に限ってお話すると、現在の農業全体の耕地面積は約470万ヘクタール。一方、もし仮に農業だけで、自給率100%にするとすれば、耕地面積が約1600万ヘクタール必要になります。

・100%自給に必要な耕地面積:1600万ヘクタール
・現在の日本の耕地面積:470万ヘクタール

 その差はおよそ3,5倍です。もちろん、農業だけが食料源ではありませんが、こうした数字はこれから農業を現実問題として考えていく上で、わかりやすい指標だと思いました。
 その他にも農業と観光について様々な議論が交わされました。セミナー後半のパネルディスカッションでは、拙著(共著書なので、あくまで僕だけですが)、「観光社会文化論講義」で事例研究として取り上げさせて頂いたNPO法人「清澄の村」の三浦雅之さんもパネラーとしてご出演されていて、パネラー方々皆さん熱いトークをされていました☆


懇親会←セミナー終了後は、神戸夙川学院大学のおもてなしで懇親会に参加しました☆懇親会では、貴大学で講師をされているK先生と観光や有機農業の展開についていろいろとお話を聞かせて頂き、大変勉強になりました☆







ポートアイランド←帰りは、K先生にご案内して頂いて、ポートアイランドからの景色を見ながら散策し、帰路につきました☆







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