2009年05月

2009年05月30日

発酵の始原

 今日は京都府立大学で、日本農芸学会の関西支部の講演会があったので足を運びました。農芸化学は、農業の生産に関する化学的な現象を研究する分野の研究でいろいろな分野の学問があります。

【農芸化学分野の諸科学】
栄養学
醸造学
発酵学
土壌学
肥料学
農薬学
酵素化学
栄養化学
林産化学
畜産化学
水産化学
食糧化学

 といった具合に、その他にも様々な学問があります。
 こうした分野に対して僕は全くの無知で自身の研究分野とも違うのですが、全く違う分野の研究発表から学ぶように心がけています。
 もちろん、素人ですから専門的なことがわかるわけではないのですが、研究の見せ方、論理の立て方、プレゼンテーション力はもとより、学問の根底に共通する知的好奇心への刺激が、ふと、自身の分野に新しい風を吹き込んでくれるので新しい発想をくれるので、こうした出稽古はとても大事な時間にしています。

 今回の講演会では、日本農芸学会の若手優秀発表賞を受賞された方々や特別企画・産学交流として、月桂冠総合研究所の方が来られていて、「清酒の醸造技術をバイオ燃料製造に活かす」というタイトルで興味深いお話をされていました。
 
 そんな新しい風をもらった夜に、突然ですが、ふといろいろと缶詰や調味料が入っている戸棚を整理していると、なんと奥から以前購入したなると金時の砂糖煮のお菓子が出てきました。賞味期限をみると5月12日、しかも封はあけてあります…
 しかしながら、見た目にはあまり変化がありません。それどころか、ちょっと香りをかいでみるとなんともかぐわしい香りがします。そう、この香りは芋焼酎の香りです。
 おそらく、片上家に舞う自然酵母が封をあけたなると金時に付着したのでしょう。さつまいもの糖分をアルコールに変える発酵が始まっていたのです。しかも、なんともいい香りで☆
 
 焼酎の起源は諸説いろいろとありますが、はじまりは、こうして置いておいたら自然とかぐわしいアルコール発酵が始まってその現象を人々が生成していったことには違いないと思います。
 自分の家でこうした始原の体験をふとできたことで、急に芋焼酎という酒文化がぐっと身近に感じた農芸化学的な一日でした。



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2009年05月19日

片上敏喜の「インフルエンザ」対策

 インフルエンザがだいぶ流行っています。ちょっと過剰かなと思いつつも、やはり、科学的な根拠をもって終息が確認できるまでは、しっかりとした対策を個人、自治体、国家と様々な単位で行うことが大事だと思います。

 けど、ちょっと思うのですが、普通のインフルエンザでもこれぐらいの感染はしているのではないのかなぁと。ただ単に報道する数が多いから錯覚している感もあります。
 おそらく(あくまでおそらくですが)、通常、冬に起こるインフルエンザの数とあまり大差はないように思うのですが、もし、そうならマスコミによる情報発信の影響力を感じます(ちょっと不安をあおりすぎなような気もします。感染者の数を報道することも大事ですが、もっと新型インフルエンザの本質や実際にかかったとしてたらどの程度、身体へのダメージがあるのかといったことが大事じゃないかなと)。

 とはいえ、切実なことだということは間違いないので、インフルエンザどころか近年、風邪にもかかったことのない(あまり、丈夫だとあらぬ容疑がかかってしまいますが、笑)片上敏喜のインフルエンザ対策をお教え致します。

【片上敏喜のインフルエンザ対策】
1、水分を一日、1.5リットル取る
2、手洗いをする
3、帰宅時、外出先でもペットボトルに浄水器などで通した水をもち、うがいをする
4、うがいは、いきなり「ガラガラ」とするのではなく、最初の1回は口をすすいで、そのあと「3回」うがいをする
5、エレベーター・エスカレーターを使わず階段を利用する(特に駅で)
6、よく寝る
7、よく食べる

 と、大したことではないですね(苦笑)。けど、しっかりとやると必ず効果はあります☆(科学的根拠は若干乏しいので、あくまで「片上敏喜の」ということでご寛容を☆)。


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2009年05月14日

食のイベントについて

 ゴールデンウィークも過ぎて、やっと普段の生活に戻った感がでてくるのが、今週あたりですよね(ってもう半ばを過ぎましたが、笑)。
 皆様はゴールデンウィークは楽しく過ごされましたか?僕はかなりまとまって研究や研究助成の申請書かきに時間をとることができて、充実しておりました。といいながらも、ふと、奈良県内で行われた食に関するイベントなどにも足を運んだりして楽しんでいましたけど(笑)。

 そして、今日の食義はそのゴールデンウィークに伺ったイベントで思ったことについて書いてみたいと思います。
 僕が伺ったイベントは、いろいろな食を中心としてこだわりをもった生産者の方々が集まって行うイベントでした。とても明るい雰囲気なイベントで、天気もよかったので大勢の方々が来場してにぎわっており、僕もその中に入っていろいろと見させてもらったり、気になるブースにいって試食させて頂いたりしました。

 ここで、唐突ですが、イベントに関する研究を行っている研究者であるゲッツという方がイベントの定義をこのようにしています。

「イベントは、日常生活とはまるで異なる集団的体験に参加する機会を与える場である」

 まさしくその要素がイベントには十二分にあると思います。けど一方で僕は、イベントはこの定義に止まるべきではないと思います。イベントは楽しむという要素が大きな魅力であると同時に、その楽しんだことを日常生活にもって帰って、日常の中で常用していくようになることが大事だと思うのです。そうでないと、イベントに出店した人たちのメリットが一時的になってしまってもったいないと思いますし、買う側もまたもうひとつ楽しみが追加されると思うのです。

 と、僕はこう思ったのは、今回のイベントに伺っていろいろと試食をさせてもらったり、食に対するこだわりを聞いたりしたのですが、どうも熱意を感じなかったのです。
 といいますのも、かなり、こだわりをもった方々が集まっていられたのですが、出店していた商品の見せ方、売り方、魅力の伝え方がどうもあまり伝わってこないのです。もしかして、あまり、強く押しすぎるとお客さんが引いてしまうからという配慮もあったかもしれないのですが、そういうことではなくて、「私達の熱意をもって作った、もってきたこの食をぜひあなたに!」という思いがあまり伝わったこいのです。

 イベントのコンセプトとしては、生産者と消費者がつながる場にしたいということがコンセプトだったのですが、どうも、つながっているのは内側だけでは?などと卑下たことを思ってしまいます。
 言葉を悪くしていうのも恐縮ですが、自己満足になってしまって、お客さんが何を求めてイベントに来ているかということがつかめておらず、ひとりひとり同じ対応になっているのです(自分ができているかどうかは棚上げしてますが)。

 僕は、イベントの目的は、先程の定義もさることながら、そこに加えて、イベントでで商品を売って単純な利益をあげることが目的くではなくて、イベントを通じて知ってもらい、あなたの日常生活の中で使ってもらうことが大事だと思うのです。
 そうやって、商品とお客さんを生産者の方々がつないでこそ、イベントは成功だと思うのです。そうして地域にある、奈良県内にある地場のものに目がむいて、そして、目がむくことによってまた質が研鑽されていくという流れの最初になるのが、イベントの役目だと思うのです。

【食イベント再考の私的キーワード】
0、非日常なイベントでの体験を通じて、日常で使ってもらうための場としてのイベントづくり

1、熱意をもって、思いと食品をお客さんに伝える気持ちづくり
2、素人、趣味の延長線上にならない
3、自己満足にならない
4、身内同士(出店者同士)だけで満足しない。
5、相手がなにを求めているかをつかむ。お客さんとつながる、共感する



2009年05月04日

『うどん』劇

 先日、釜揚げうどんのお店に足を運んでうどんを頂きました。少し、遅めの時間だったのですが、ゴールデンウィークの最中だからでしょうか、結構家族連れが多く、夜遅くに家族ででかけるんやなぁと思いながら(自分もですけど、苦笑)、釜揚げうどんを注文して頂きました。
 頂いたうどんは280円だったのですが、その他のうどん屋で同じ様に遅くまで営業しているうどん屋の釜揚げうどんが、一杯600円のところがあります。この値段の違いは何から出てくるのだろうとふと思います。
 
 僕がこの両者のうどんを頂いたところ、いろいろと違いはあるのですが、決定的にちがったのは、釜揚げうどんをつける出汁でした。前者は出汁の香りがかなり乏しく、後者はとても香っています。釜揚げうどんといえば、主役はもちろんうどんですが、出汁はうどんの助演ではなく、うどんそのものと主役を張るいわばうどんという劇のダブル主演な存在です。

 僕の経験からですが、300円前後を売りにしているうどん屋はうどんの出汁が、主役どころか助演、いや、脇役、ひょっとしたらエキストラといっていもいいぐらいな時があります。
 もちろん、助演、脇役、エキストラがわるいといっているわけではありませんが、お客さんの払うチケット代によって、出演者の報酬に差がでてくるのは当然といえば当然です。

 出汁の基本となる鰹節、昆布は例え1級品ではなくても、とてもいい出汁がでますし、こうした多くの人たちが利用する機会が多い大型の飲食店が率先してくれれば、昆布や鰹を応援する(=日本の食文化の基礎である出汁の応援、享受)になると思います。
 けど、それにはうどん劇を見に行く、観客が見る目を養い、劇のプロデューサーと観客との緊張感のあるやりとりがないとなかなか難しいと思います。



syokugi at 22:22|PermalinkComments(2)TrackBack(0)clip!食の考察